さよなら、痛みの恋 ― そして君と朝を迎える
思えば、長いようで短い一年だった。
逃げ出すことから始まり、信じることを覚え、愛することに戸惑いながら、ひとつずつ前へ進んだ。
その日の午後、ふたりは約束通り、指輪を見に出かけた。
飾り立てられたショーケースの中、さりげないシルバーのペアリングを見つけた紗夜が、少し恥ずかしそうに言った。
「……これ、シンプルだけど、かわいいかも」
悠真はふっと笑って、彼女の指を取り、そのリングをそっとはめた。
「お似合い。……でもさ」