探偵男子たちが強すぎる
◆各々のスタイル◇
ナワバリ観光当日──
放課後の掃除係をウソっぽくないウソを言って代わってもらったから、より早い時間にわたしたちは学園を出れた。
昨日の夜、静空くんから『今までみたいにすぐには終わんないから』って言われていたし、ナワバリに入るまでの道のりは、少し緊張感が漂う、とか思ったりしたんだけど……
「ねぇノンノン」
「嫌や」
「まだ何も言ってないのに?」
「……なんか大した事ない話の予感がすんねん」
わたしの前を歩く静空くんと夏音くんのやりとりが耳に入ってきて。
「お、正解。しりとりしよう。歩いてるだけだし出来るでしょ?」
「嫌や」
「んー最初なににしようかな」
全然話聞いてへんやん、と夏音くんはため息をつく。静空くん相変わらずマイペースで……
「全然緊張感のかけらもないな」
「そ、そうだね」
本当、普通にどこか遊びに行くような雰囲気だもの。
「確かに。でもいいんじゃないんですか。気負いしてない証拠でしょ」
わたしをはさんで歩く壱弥くんと紫音くんも、いつも通り冷静。
「……それもそうだな」
「そうですよ、ほら」
「ん?うわっ!?」
紫音くんは握った手から、例のおもちゃを壱弥くんに見せる。……わたしも見ちゃったけど。
「じゃーレンレンのレンカ。はいノンノ──」
「カノン。あー……ン、ついてもうたー堪忍なー」
「ひど……めっちゃわざとじゃん。おれ不機嫌になった。レンレン撫でて」
後ろを向きながら歩く静空くんは、頬を膨らませていた。だから撫でながら夏音くんの後ろに行き、
「夏音くん、わたしともしりとりしよ?」
「おう、ええでッ」
「おれとの対応の温度差ー」
またも膨れる静空くんを含め、全員でしりとりしながら目的地へと向かった。