探偵男子たちが強すぎる
ヒバリちゃんとユウリくんと改めて自己紹介をした後、二人を先に帰し、グラウンドへ腰を下ろした。
「あー人数が多かっただけで、歯ごたえなかったなぁ。追いかけっこの方が疲れたで」
「兄貴たちに余計な体力使わされた……」
「歯ごたえのなさは同感だな」
「え……あんだけ動いてたのにつまんないとか、信じらんない。おれの一ヶ月分、いや二ヶ月分くらい動いてたはずなのに……」
まだ動ける、と若干不完全燃焼のメンバーに静空くんは引き気味の様子。
少し休んだら帰ろうという話で座ってそんな会話を耳にしていると、校門の方からのそのそと一匹の猫が静空くんの足へすり寄ってきた。
その猫を見て、わたしたちはハッとする。
『探してた猫!』
「いぇーい、マタタビ効果ー」
静空くんは猫を持ち上げ、わたしに預けてくれた。
「マタタビはこの前引っかかったから今回は信じひんぞ」
「いや、ほんまよほんま。実は終わるまで何匹かの猫に囲まれちゃってさー。おれモテ期到来してたの」
腕の中に抱いた猫の顔を見れば、ニャンと小さく鳴かれ、動いた疲れが吹っ飛んだ。
「ふふっ……可愛い」
顔がゆるんでしまう。
「……静、今の撮った?」
「マイスマホにバッチリおさめた。送ってあげようか?」
「勿論。ナイスや」
「僕にも送って」
「俺も」
おさめたとか、送るとか、所々会話が聞こえてきて、何かわたしの方を見て楽しげな四人が居たけど、猫ちゃんがいたからあまり気にしないでグラウンドをあとにした。
その帰り道に猫を届け、家に帰った後──
「何これ!?」
わたしの猫を見てゆるみきった顔の写真が、メッセージグループに送られてきていて。
「……さっきの会話はこれのこと」
目を細め、スマホを見ている皆を見れば、何故か満足そうな笑顔が返された。