探偵男子たちが強すぎる
◇押しの強さ◆

学校一つを倒したことによって、安全な区域が広がった。
静空くんが壁に貼ってくれた地図に記されていたナワバリも、だいぶ面積が小さくなってきたから順調と言っていい。

誰も怪我してないし、不完全燃焼って言えるくらい余力はあるってこと。すごくたくましい、と思うんだけど……

「こっちのレンレンもヤバヤバ」
「……ああ、せやな。これ、回し蹴りの時の連写やろ。ほんま最っ高やわぁ」
「僕もそれ好き。でも、僕のこと押した後受け身を取った瞬間は格別」

ヒバリちゃんたちの学校を倒してからここ数日、毎日同じ会話をしている男の子たち。
何故か乱闘中のわたしを静空くんが撮っていたみたいで、休みなのに朝からスマホとパソコンを持ち寄り観賞会みたいなことをしている。
だから、わたしはあえて輪に入らず聞いているだけ。

「で、イッチーの推しレンレンは?」
「動きも悪くないし、回し蹴りも良かった。だけど……やっぱ俺は、敵を教えてくれた瞬間」

壱弥くんが答えると、深く頷き共感するような『あれな……』と声が重なる。

「分かるわ。ウチも教えてもろたしな。とは言っても全てをなぎ払う回し蹴りも良かったやんー!……あないな女子はじめて見たしな」
「それを言ったら僕もだよ」
「俺も蓮佳みたいな女はじめて見た」

「女って……あ、でもレンレンみたいな強くて可愛い子と付き合えたら、おれの命安全ーかつ幸せー」
「……あ、ありがとう?」

褒められるのは素直にありがたい。
でも、最後の静空くんの言葉を機にリビングがいっきに静まり返ってしまった。
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