【改訂版】満月の誘惑



小さい頃から活発に動き回り、好奇心旺盛で明るい性格な私と正反対の雰囲気で、謎が多い男性。


頬はこけ、鎖骨もくっきりと浮き出ていて、痩せ型というより痩せすぎ。

髪は天然パーマなのかクルクルというよりボサボサ。


そして特に気になる、顔や服の隙間から見える体には無数の傷がある。



それにしても、お見合いもすっ飛ばして、いきなり両家顔合わせなんて。


しかも、旦那様になる方のご両親が不在。


旦那様の両脇に敷かれた、私たちより分厚い座布団。私たち三人に対して一人の感じる圧は、すごいだろう。



「佃荘司と申します。この度は、大変有り難い縁談話をいただき、感謝いたします」


「こちらこそ。婿に入ってもらえて、感謝しているよ」



このような場では、両親同士が話してから、仲人さんが私たちに話題を振ってくれる。


でも両親同士話せないし、驚くことに仲人さんまで不在。



理由は、仲人さんが引っ張りだこなだけ。


その人に入ってもらうと、話が上手く進んで夫婦円満になれると、評判らしい。




「荘司くんは長男と聞いたが、なぜ婿に入ろうと?」


「縁談は頻繁に受けていました。結婚直前まで話が進んだこともありましたが、結局この歳まで嫁さんをもらえず。もう継がなくて良いからと、両親にも言われまして、今回思い切りました」




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