【改訂版】満月の誘惑



次の日、一日収穫で忙しくしていた両親に代わり、夕方の納入に向かった。


日暮れが近づいてくると、荘司さんが出られる。



帰り道を急ぎ、駆け足で家に向かわないと、荘司さんの後を追えない。



砂埃を立てながら足を進めていると、一際背の高いボサボサの髪が遠くから見えた。


一目で分かる、荘司さんだった。この間より、出る時間が早い。


見つからないように、商店と家の隙間に体を潜めるも、私に気づく素振りもなく大股で何も持たずに通り過ぎた。



そのまま後ろ姿を眺めていると、突然立ち止まってしゃがんだ荘司さん。


胸あたりを手で押さえているのが見えて、隠れていたのに助けに行こうと近寄って行った。



でも私が辿り着く前に商店の大将が駆け寄り、何やら言葉をかけてくれて、また見つからないようにその場で立ち止まって様子を伺う。


荘司さんは駆け寄った人を全員制止していて、助けてもらうのを嫌がっているように見えた。



家に戻ってきた時も、私たちが近寄るのを嫌がっていたな。出る時は私のことを抱きしめてくれたから、触られることに抵抗を感じているようには思えないけど。



考えている間に荘司さんは立ち上がっていて、みんなの心配を無視して、まだ苦しそうに胸を摩りながらも早足で歩き始めた。


今ここで家に戻っていたら、絶対に見失う。


心の中で両親に無断外出を謝り、荘司さんを追いかけた。


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