本当の自分

記憶。

・・・殻?
私が殻をつくってる?

「そう。君は殻をつくってる。
 自分を護るために。
 でも、それが君を拘束する鎖になってるんだ」

そう言うと、昴は私の頭をおさえる。
痛い。しめつけられるよう。

「ねぇ、君の名前は何?」

わからない!!わからない!!!
痛いよ。頭が、身体が!!!
そう、必死に思うと手が離れた。

「・・・。じゃあ、君が偽りはじめたのはいつごろ?」

・・・また、わからない。
というか、思い出したくないのかもしれない。

「じゃあ、自分を偽りはじめたきっかけは?」

・・・自分に自信がなくなったからかな。
そう、思ったら昴はかすかに目を見開いた。

「ふーん。覚えてないんだ。
 ・・・どうも、殻だけじゃないみたいだね。
 君のココロを縛っているものは」

殻だけでも意味がわからないのに、それ意外にも?
私は、ずーっと座っていたベッドから立ち上がり、
昴の元へ歩いて、じーっと見つめた。
考えこんでいる、昴は気づかない。
昴はいったい、何者なんだろう。

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