本当の自分
よく見ると、昴は瞳がきれいな琥珀色をしている。
吸い込まれそうな色。
色素の薄い茶の髪の毛は。
窓から吹き込む風にもてあそばれ、
サラリとゆれる。

「何、みてるの?」

昴が気づきこちらを見た。
私は慌てて視線をそらす。
でも昴は声まできれいだ。
透き通るちょっと高めの声。

「・・・まぁいいや」

昴はちょっと呆れたように肩をすくめると、
私の本棚から、ある1冊の本を手にとった。

『稀に起こる力』

物心ついたときから、いつも私の側にあった本。
開いても、よくわからずすぐ閉じていた。
難しいことばかり書いてあるから。

「これは、大切な本だよ。絶対なくしちゃダメだ」

そう言うと、昴は本を開き話し始めた。

「・・・稀に起こる力とは、一般にいう超能力のことだ。
 超能力といっても人様々であり、力の大きさや
 能力がちがう。超能力者は大半の人が周りに溶け込めず、
 苦悩してる者が多いという」

そこで昴はまっすぐ私をみた。
本を閉じ私に手渡す。

「君に殻の外を見せてあげる」

昴は不敵に笑った。


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