奥さまが恋に落ちるまで
平凡で平和な日常
専業主婦の私の仕事は、早起きし、三つのお弁当を用意することから始まる。
一つは夫に、二つは息子に。
中学2年生になる息子の翼は、最近、あまりに空腹が酷くて弁当が一つでは足りないという。今も、朝からご飯をおかわりしている。
「敦司さんは?おかわりしなくて大丈夫?」
夫に尋ねると、
「ははっ。僕が翼と同じ量を食べたら、中年太り一直線だよ。高校生の頃は、昼休みまで我慢できなくて、早弁して怒られたけどね」
「あ、もう行かないと。1分でも遅刻すると立たされる」
翼の通う中高一貫の男子校は、校則がかなり厳しいことで有名だ。
地元の誰もがそれを知っているのに、6年生のサマーキャンプが終わったころ、翼は唐突に受験したいと言い出した。
受験対策など何もしてこなかったので、親である私のほうが焦ったが、もともと勉強のできる子だったので、あっさりと合格。
「いってきます」
「気をつけてね」
一つは夫に、二つは息子に。
中学2年生になる息子の翼は、最近、あまりに空腹が酷くて弁当が一つでは足りないという。今も、朝からご飯をおかわりしている。
「敦司さんは?おかわりしなくて大丈夫?」
夫に尋ねると、
「ははっ。僕が翼と同じ量を食べたら、中年太り一直線だよ。高校生の頃は、昼休みまで我慢できなくて、早弁して怒られたけどね」
「あ、もう行かないと。1分でも遅刻すると立たされる」
翼の通う中高一貫の男子校は、校則がかなり厳しいことで有名だ。
地元の誰もがそれを知っているのに、6年生のサマーキャンプが終わったころ、翼は唐突に受験したいと言い出した。
受験対策など何もしてこなかったので、親である私のほうが焦ったが、もともと勉強のできる子だったので、あっさりと合格。
「いってきます」
「気をつけてね」
< 1 / 61 >