奥さまが恋に落ちるまで
昼下がりの情事
 六月最終週、五月晴れの日曜。
 昼食を終え、一家全員、各々のんびりと過ごしている。
「そろそろ買い物に行かないとね⋯⋯翼に声かけてくるわ」
 昔から、週末にショッピングセンターで食品や日用品のまとめ買いをする時には、翼も一緒に行っていた。
「翼は期末試験目前だし、今日は二人で行こう。まあ⋯⋯サクちゃんさえ嫌でなければね」
 夫の言葉に、頬が熱くなるのを感じながら頷く。
 なぜなら、ある時期から、二人だけで買い物に行こうというのは、買い物の前にホテルに行こうという意味だったから。
 普段は私のことを桜子さんと呼ぶのに、そういう時だけ、何故かサクちゃん呼びに変わる。
 以前、
「思春期の頃、自分の両親の夫婦の営みに気づくと、なんだか気持ち悪かったり、ショックを受けたりしなかった?」
 夫はそう言っていたが、私は、自分の両親の夫婦の営みに気づいたことは一度もない。
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