プリンセスと氷上の勇気

5 わくわくする気持ち

「あっ、わかった! “ひょうじょう”!」

「うん、正解!」

 お友達作りに大切なのは、明るい“表情”。
 スケートは氷の上……“氷上”でするスポーツです。

「いつも通りの笑顔でなら、きっと滑れるよ!」

「……わかった、がんばる!」

「いくよ? いち、にー、いち、にー」

 ふらっとなっても、もう1回。
 するとだんだんなれてきて、すいーっと進めるようになりました!

「すごい! ティナ、滑れてるよ!」

 アリシアが手を離しても、1人でちゃんと滑ることができました。
 さっきまであんなに怖がっていたのに、もう平気。ティナはすいすいすいーっと簡単に滑ります。

「よーし、いくぞ!」

 調子にのったティナは、気合を入れてぐんぐんスピードを上げました。
 そして――

「えいっ!」

 いきおいよく氷をけって、ジャンプ!

「うそっ!?」

 ふわりとうかんだティナを見て、アリシアは青い目を丸くしています。
 ティナはくるりと1回転してから――

「――きゃあっ、いたい!」

 ドテッと、地面にしりもちをつきました。

「大丈夫!?」

「えへへ、ジャンプってむずかしいね」

 あわててティナにかけよったアリシアは、ふしぎそうな顔をします。

「どうしてジャンプをしようと思ったの?」

「チャレンジしてみたかったから!」

 打ったおしりをさすりながら、ティナはにこっと笑います。

「怖くなかったの?」

「やってみたいって気持ちの方が強かったかな!」

「やってみたら、アリシアの気持ちがわかるかと思って! それに……ジャンプできたらすてきだなって、わくわくしたから!」

 やってみたいと思ったらすぐにやる、それがティナでした。
 そう、怖いよりもわくわくが勝ったのです。 
 言ってからティナははっとしました。

「ねえアリシア。もしかして勇気って……わくわくする気持ちなんじゃないかな?」

「そうかも。私も、もっとわくわくすればいいのかな?」

 心の中をわくわくでいっぱいにすれば、怖いきもちなんて吹き飛んで、ジャンプができるかもしれません。

「とってもいいアイデア! 明日やってみるわ!」

 アリシアの顔はもうわくわくしています。
 この調子なら本当に飛べてしまいそう。明日の練習がますます楽しみになりました。
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