エリート外科医は婚約者を甘やかしたい
翌週から受付の仕事が始まった。

初めての業務に、私は少し緊張していた。

「患者さんがいらしたら、まずは保険証を見せて貰って。」

教育係の人は私に丁寧に教えてくれた。

最初は何もかもが新しく、覚えることが多くて、頭の中が混乱していた。

しかし、少しずつ業務の流れが掴めてきて、なんとかこなすことができた。

「さすがは院長先生の娘さんね。物覚えが早いわ。」

教育係の人がそう言ってくれた時、私は思わず嬉しさがこみ上げてきた。

これで少しは父の期待に応えられるのだろうかと、心の中で感じた。

自分ではまだ、医者としての道に進むことを諦めたわけではなかったが、目の前の仕事を一生懸命にこなすことで、少しでも父や周囲に認めてもらいたいという気持ちが強くなっていった。
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