心理カウンセラーと傾国美男(イケメン)と社内公募婚~導きたいのに私が甘く導かれてます~
「ちー、今日空いてる?」

まだ開店もしてないお店のカウンター席に座り「いつもの!」と元気の良い野太い声が聞こえて来る。

「るる姉、寝起き?」

「昨日楽しくて飲みすぎただけ~」

ケラケラと笑って私も軽くビールで乾杯。
るる姉、さすが強者(つわもの)!
彼女に二日酔いとか関係ないらしい。

「着替えたらすぐ行けるけど。もう待ってるの?」

るる姉の大好きなチーズの三種盛りを軽く作りビールの横に置いた。

「るるちゃん、いらっしゃい」

るる姉は隣のスナックのマスターいやママさん。
心と見た目は女性でこの叔父を長年狙ってる。

「すーさ~ん!」

すーさんは私の叔父で父の弟。
5年前に最愛の叔母を亡くして今は独身生活をゆっくり楽しんでる。

「すーさん愛してる~」

いつもこんな調子で始まって叔父に意識持ってかれちゃうから私の声が聞こえなくなる。

「るる姉、私への依頼はどうすんの?!」

イタリアン風バル destino(デスティーノ)
“運命、宿命、未来、将来(人の)運勢を予言する”という意味。

都会の片隅の隅すぎるこのお店はエスプレッソからお酒まで自由に楽しめるスタイルで隅の隅にも関わらず著名人がお忍びでやってくる知る人ぞ知る隠れた名店。
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