心理カウンセラーと傾国美男(イケメン）と社内公募婚～導きたいのに私が甘く導かれてます～

「ママお帰り。ちょっとその格好どうしたの？」

チーママの凛(りん)さんは苦笑いで温かいおしぼりをくれる。
凛さんは女性だけどるる姉とは逆でボーイッシュな人。
酔うと頼りないるる姉の良き理解者であり共同経営者。

「るる姉に…」

「ははっ…そかそか、一杯飲む？景気づけに」

慰め程度の“そかそか”はお酒への導き！
占い前にその誘いはダメでしょ？
そうは思うけどカウンターにショットグラスを置かれた時点で終了！

「ロンリコ一杯だけ‼」

アルコール度数40％をチョイスして一気に飲み干す。
バニラのような甘さと滑らかな口当たりが最高すぎる！
ついつい「もう一杯」と催促しちゃう。

「凛、ハルは～？」

「今、電話中なのよ。隣の個室に準備はしてる」

周りを見渡すけどBOX席には５～６名のお客様とるる姉の所のバイトさん。
別のテーブルには顔なじみのるる姉ファンのお客さん。
カウンターには誰も居ないけど端の方に高級ウイスキーのボトルとグラスがある。

「分かった。先に入っとく」

もう一杯ロンリコを胃に入れて席を立った。

お店の奥に申し訳なさそうに灯る間接照明。
それが目印で小さな扉と薄暗い部屋がある。
ちなみに薄暗い理由は電球が切れてるだけで深い意味はない。