心理カウンセラーと傾国美男(イケメン)と社内公募婚~導きたいのに私が甘く導かれてます~
「思う…いや好きなやつとの、今後…いやこれからを占って欲しい」

変な日本語になってるけど本気度は伺える。
恋に一途な男性らしい。
テーブルの上で組み合わせた指がぎゅっとなった気がして気持ちが伝わってきた。

「わかりました」

真剣な気持ちには私も答えねば。
重い瞼をゴシゴシ擦り何とかこじ開けて彼の前にカードを置いた。

「こちらをどうぞ」

目の前にカードを置いて彼に思いを込めてまぜて貰う。
どんなお客さんでも占いの時って素直に言われたことをやってくれるんだよね。

「自分の良いところで止めて下さい」

彼は左回しでまぜる手を静かに止めた。

(…さて)

何度も言うけど私は本当の本気の本物の占い師ではない。
それでも気持ちは込めて占いはする。

「そのカードを左手だけで3つに分けて下さい」

そして好きな順番で1つの山に戻してもらい上にする向きを考えてもらう。

「こっちが上で」

今度は私がカットしたカードを5枚順に並べてリーディングしていく。
1番先に置いたカードは現状、2、3、4、5と置いたカードの意味は違う。

「今は停滞と言うか始まってないですね」

「まぁ、そうだな」

彼も酔ってるんだろうと思う。
頬が軽く染まり照れた顏で微笑むから
私も顏が熱くなるし心臓がバクバクする。

「先生、大丈夫?」
「大丈夫です!」

心配する綺麗な顏にまたドキっとするけどチェイサーの炭酸水で紛らわし背筋を伸ばした。

「正位置に…運命の輪のカード」

運命の輪は人生の大きな流れ好転や転落、変化、逆らうことのできない宿命を意味するカード。
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