心理カウンセラーと傾国美男(イケメン)と社内公募婚~導きたいのに私が甘く導かれてます~
「凛さーんさっきのボトルでお願いしまーす‼」

閉め切ってたドアを勢いよく開けてカウンターに向けて捲くし立てた。

「失礼しました。まずはこちらをどうぞ」

テーブルに置かれたロンリコのボトルと並々と注がれたショットグラス二つ。
それと一応、チェイサーの炭酸水。

「これを飲むってこと?」

チラっと顏を見ると軽く目尻が下がり口角は少し上げた。

「いつも飲みながら占うんです。その方が自然に出来ると言いますか」

そんな顏で見られたら素面(しらふ)では絶対ムリ!
いつものスタンスと平常心が大事。

「乾杯」

互いにグラスを合わせて彼は一気に傾けた。
顏に似合わない男らしい喉ぼとけがゴクりと動いて少し顏を歪める。

「これ強いな、でも美味い」

「でしょ?じゃあ私も!」

グイっとショットグラスを傾けると度数高めのアルコールが喉を通過して脳まで麻痺させていく。

「美味しーい!」

「先生、美味そうに飲むね」

「まぁ、」と答えたもののその後の言葉なんて用意してない。
そんな瞳で見つめないで欲しい!
ドキドキする!
もっと飲むしかない!

そして調子に乗った私は、

「んで、何を占うんでしゅ…噛みました」

乾杯しすぎ。
ボトルも3分の2は無くなりどんどん視界が狭まってる。
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