絆の光は未来へ
「お前、どうしたんだよ」

蓮の声は、静かだが、強い響きを持っていた。光希の表情は、蓮の言葉に微かに動揺する。

「あゆかちゃんが目を覚ましてからは、少しは食事も摂れてたし、夜も眠れてるって聞いてたぞ。なのに、なんでこんな……」

蓮の言葉が、光希の心に突き刺さった。確かに、あゆかが意識を取り戻してからは、安堵から少しは身体を休めることができていた。

しかし、その後のあゆかの言葉と、振り払われた腕の衝撃が、彼の心を深く支配していたのだ。
光希は、絞り出すように答えた。

「…あゆかが……俺の前で、初めて泣いたんだ。あんなに、取り乱して…俺の言った言葉で、あゆかを追い詰めてしまった……」

彼の声は、悔恨に震えていた。幼い頃から、あゆかは常に明るく、光希の前で感情を爆発させて泣いたことなど一度もなかった。その彼女が、あんなにも絶望的な目で自分を睨みつけた事実が、光希の心を深くえぐっていた。

蓮は、その言葉を聞いて、さらに言葉を続けようとした。

「光希、それは病気のせいだ。お前も、分かってるだろう。抗NMDA受容体抗体脳炎の後遺症で、感情のコントロールが難しくなることがあるんだ。あゆかちゃん自身も、自分の感情が制御できないことに苦しんでいるんだよ」
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