絆の光は未来へ

温かい手、温かい心

あゆかの車椅子を押し、光希は一般病棟にあるシャワールームへと向かった。個室のシャワールームには、介護用の椅子が設置されている。

光希は、あゆかを椅子に座らせて、浴室の鍵を閉めた。

「先に、パジャマ脱ぐか?」

光希が尋ねると、あゆかは小さく頷いた。
彼女は、ゆっくりと自分のパジャマを脱ぎ始めた。光希は、その間出来ない所は手伝い、そしてあえて目をそらさなかった。

彼女の身体には、まだ残る点滴痕や、痩せ細った部分がある。しかし、その全てが、彼にとって愛おしかった。
パジャマを脱ぎ終えたあゆかは、少しだけ顔を伏せた。

全身を彼に見られることへの、わずかな羞恥心。美しい恋人の裸体を間近で見る光希の視線を感じて、あゆかの頬は紅潮した。

病気で痩せてしまった体を見せることへの恥じらいと、それでも愛する人に全てを委ねたいという想いが、複雑に交錯していた。

「大丈夫だ、あゆか」

光希が優しく声をかけると、あゆかはゆっくりと顔を上げた。その瞳には、光希への信頼が宿っている。
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