絆の光は未来へ
「ああ、行ける。必ず行けるさ。時間はかかるかもしれない。以前と同じように、すぐに全てができるようになるわけじゃないかもしれない。でも、君は、着実に前に進んでいる。諦めなければ、必ず夢は叶う。俺が、その道を全力でサポートするから」

光希は力強く答えた。
しかし、その言葉の裏には複雑な感情が渦巻いていた。

今回の生死を彷徨う経験を経て、光希は「無理」という言葉に人一倍敏感になっていた。あゆかは、一度決めたらとことん突き進む性格だ。

衛生看護科の厳しいカリキュラム、実習での身体的・精神的負担…。再び無理を重ねて、またあの時の様に倒れてしまうのではないか。

あの絶望を二度と味わいたくない。

それにまだ不安要素があった、婦人科系の疾患。
抗NMDA受容体抗体脳炎と関連性があると言われているその病気は、あゆかの場合は治療は進んでいるものの、まだ、完全に治癒したわけではない。

もし、衛生看護科での過度なストレスが…再発の引き金になったら。そう考えると、光希の心は希望と同時に拭いきれない恐怖に襲われた。

光希の力強い言葉に、あゆかの瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちた。それは、不安と、そして希望が混じり合った、温かい涙だった。

二人の前には、まだ多くの困難が待ち受けているだろう。しかし、彼らはもう一人ではない。互いを支え合い、困難を乗り越えるたびに、二人の絆はより一層深く、強固なものになっていく。

あゆかの回復は、光希にとっても、二人で共に歩む未来への、確かな希望の光だった。
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