絆の光は未来へ

蓮と光希 交錯する想い

蓮は、頭を抱え、苦悩する光希の姿をじっと見つめていた。友の抱える葛藤が、痛いほど理解できた。

医師としての責任感と、愛する者を失うことへの根源的な恐怖。その両方があゆかの夢とぶつかり合い、光希を深く追い詰めている。

蓮自身も、あゆかの身を案じる気持ちは同じだった。
光希の言葉が途切れると、医局には重い沈黙が落ちた。

窓の外からは、病棟のざわめきが微かに聞こえてくるが、この空間だけは、時間の流れが止まったかのようだった。

やがて、蓮はゆっくりと口を開いた。彼の声は、静かだが、光希の心にまっすぐ届く強さを持っていた。

「光希、お前が怖いって気持ちは、痛いほど分かる。あゆかちゃんが、どれだけ辛い状態だったか、一番近くで見ていたのはお前だからな。もう二度と、あんな思いはしたくないって思うのは、当然だ」

光希は顔を上げ、蓮の言葉に耳を傾けた。蓮は、光希の苦しみを否定せず、まずは受け止めた。

「でもな、光希。あゆかちゃんは、あのスケッチブックを、まだ大事に持ってる。そして、また学校に戻りたいって、お前に直接伝えたんだろ?」

蓮の言葉に、光希の表情が微かに揺れる。あの、あゆかの手元に置かれたスケッチブック。

そして、瞳に宿る、諦めない夢への強い光。
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