絆の光は未来へ

光希side

あゆかの外泊が決まった日、光希の心は安堵と喜びで満たされた。彼女の笑顔は、何よりも彼の心を照らす光だった。

長かった入院生活。彼女が意識を取り戻し、リハビリに打ち込む姿を見てきた日々。その努力が実を結び、彼女が一時的とはいえ「家」に戻れる。これ以上の喜びはなかった。

しかし、喜びと同時に、光希の胸には重い責任感も募っていた。医師として、彼はあゆかの病状を最も深く理解している。

リハビリの進捗は良好だが、まだ完全ではない身体機能、そして高次脳機能障害の残存、完治していない婦人科系の病気の中での一人暮らし。

自宅での生活は、病院とは違い、全ての管理を自分たちで行わなければならない。彼女が無理をしてしまわないか、体調が急変した時に自分一人で対応できるか。

不安要素を挙げればきりがなかった。蓮に不安を吐露した時に感じた、あの根源的な恐怖が、時折顔を出す。

「本当に、大丈夫だろうか……」

自宅での生活環境を再確認し、必要なものを準備する間も、彼の頭の中ではシミュレーションが繰り返された。

手すりの位置、段差の有無、浴室の安全性……。
あらゆる可能性を考慮し、万全を期そうとした。
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