絆の光は未来へ

入院前にも何度か足を運んだことはあったが、病気で失われた記憶の断片が、目の前の光景とゆっくりと結びついていくような感覚があった。

凄く久しぶりにみるオフの光希が、自宅のソファに座り、マグカップを片手にくつろぐ姿を想像するだけで、あゆかの胸は温かくなった。

光希は、あゆかをリビングのソファに案内し、ゆっくりと座らせた。

「何か食べたいものあるか?簡単にできるものだけど」

「んー……お刺身と、卵焼き!」

あゆかのリクエストに、光希は楽しそうに言った。

「おいおい、それじゃ俺が腕を振るえないぞ?」

そう言いつつ頷いた。台所に立ち、慣れた手つきで調理を始める光希の背中を、あゆかはソファからじっと見つめていた。

カチャカチャと食器の触れ合う音、香ばしいだしの匂い。すべてが、病院では味わえない「家」の音であり、匂いだった。

「光希、料理上手なんだね。知らなかった」

「一人暮らし長いからな。でも、誰かのために作るのは久しぶりだ」

「私も早く…作って上げたいなぁ」

振り返った光希の表情は、どこか照れくさそうで、あゆかは胸がきゅんとした。

食卓を囲み、二人でゆっくりと食事を摂る。他愛のない会話を交わし、時折、あゆかの口から出る冗談に、光希は心から笑った。

「あ、そういえば」
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