絆の光は未来へ

回復と学びの日々

退院後、あゆかの自宅での生活が始まった。光希が運び込んだ荷物で、部屋は以前より賑やかになった。

朝は光希が簡単な朝食を用意し、あゆかの薬の管理を確実に行う。

日中、光希が病院で仕事をしている間も、あゆかは決してだらけていなかった。体調が良い日を選んで、自宅近くの公園まで散歩に出かけ、平行棒がなくても自分の足で歩く練習を続けた。

自宅のリビングには、光希が簡易的なリハビリ器具を設置してくれており、あゆかは毎日、手指の巧緻性を高める訓練や、バランス感覚を養う運動に取り組んだ。

そして、何よりも優先したのは、衛生看護科の復学に向けた勉強だった。光希が用意してくれた参考書に加え、彼は自分の持つ医療専門書や論文も惜しみなくあゆみに貸し与えた。

難解な内容に頭を抱えることもあったが、リビングで同じ空間にいれば、光希はすぐに質問に答えてくれた。

「光希、この薬の作用機序、やっぱり覚えにくい…」

あゆみの嘆きに、光希はコーヒーカップを置き、彼女の隣に座った。
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