絆の光は未来へ
「ああ、ここややこしいから。図に描いて説明しよう」

そう言って、光希はスケッチブックに簡潔な図を描き、メカニズムを分かりやすく解説した。

彼の説明は、専門用語を多用せず、臨床での具体例を交えるため、あゆかには非常に理解しやすかった。

「なるほど!そういうことか!ありがとう、光希!」

あゆかの瞳は、新しい知識を得るたびに輝きを増した。時には、蓮が仕事帰りに立ち寄り、あゆみの勉強相手になったり、気分転換に付き合ってくれたりした。

蓮の気さくな性格と医療の知識は、あゆかの学習生活に良い刺激を与えた。

光希は、あゆかの体調の変化には常に気を配っていた。少しでも顔色が悪かったり、集中力が途切れていると感じたりすれば、「無理は禁物だぞ」と優しく声をかけ、休憩を促した。

あゆかもまた、光希の言葉を素直に聞き入れ、自分の体と向き合うことを覚えた。彼女の笑顔は、以前にも増して自然で、生き生きとしていた。
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