絆の光は未来へ

でも、できなかった。俺は医師だから。患者を救うのが俺の使命だから。

「光希先生、お疲れさまでした」

後輩の看護師が声をかけてくれる。
俺は振り返って笑顔を作った。

「お疲れさま」

でも、心の奥では、まだあの女への怒りがくすぶっている。

家に帰ったら、あゆかに何と言おう。彼女には、俺の一番醜い部分を見せたくない。でも、隠し続けるのも辛い。

俺はスマホを取り出し、あゆかにメッセージを送った。

「今日は少し遅くなる先に夕食を済ませておいて良いよ。」

送信ボタンを押してから、俺は空を見上げた。
もう少し、一人でいたい。この気持ちを整理するまで、もう少し時間が欲しい。

でも、結局は家に帰る。あゆかのところに帰る。
彼女だけが、俺の心の傷を癒してくれるから。

俺は屋上を後にした。夕日が完全に沈み、街に明かりが灯り始めていた。
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