絆の光は未来へ
光希は素早く状況を察し、一ノ瀬と視線を交わした。言葉を交わすまでもなく、二人は同じ考えに至っていて、光希は迷わず、腰に提げた職員用IDカードを取り出した。

「裏から回るぞ!」

二人は足早に、産婦人科の裏口へと向かった。IDカードをリーダーにかざし、電子ロックの解錠音が鳴ると、重いドアが開く。

病院の裏口特有の、ひっそりとした廊下が続いている。薄暗い廊下を足早に進むと、微かに、しかし確かに、異様な音が聞こえてきました。


「......っ、う、うぅ......!」

それは、声にならないような、押し殺されたような声。そして、それに重なるように不審な音が響いています。光希と一ノ瀬の顔から血の気が引きました。

さらに、廊下の奥、内診室の方から明かりが漏れているのが目に入った。通常、この時間であれば消灯されているはずの光景。

二人の脳裏に、最悪の事態が現実のものとして浮かび上がりました。光希は一ノ瀬と顔を見合わせると、無言で頷き、足音を忍ばせながら内診室へと急いだ。
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