絆の光は未来へ
10分ほどして、複数のパトカーが現場に到着した。車から降りてきた警察官たちは現場の状況を素早く把握し、まず周辺の安全確認を行った。

その後、駆けつけた経験豊富な刑事が光希と一ノ瀬のもとに歩み寄り、低い声で状況の確認を始めた。

「お疲れ様でした。まずは、被害者の方の安全を確保していただき、ありがとうございます」

刑事の言葉に光希は小さく頷いたが、その視線はあゆかから一瞬たりとも離れることはなかった。

あゆかは光希の腕の中でまだ小刻みに震えており、時折、無意識に光希のシャツを強く握りしめていた。その小さな手は冷たく、血の気が引いているのが分かった。

「詳しい状況をお聞きしたいのですが、被害者の方の状態はいかがでしょうか」刑事が慎重な口調で尋ねた。

光希はあゆかの頭を優しく撫でながら答えた。

「彼女は...まだショックが大きすぎて、言葉を発することもできません。質問に答えられる状態ではないと思います」

実際、あゆかの表情には深い心の傷と恐怖が刻み込まれており、その瞳は虚ろで焦点が定まっていなかった。

時折、何かに怯えるように体を震わせ、光希により強くしがみついていた。とても事情を話せるような状態ではなかった。
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