絆の光は未来へ
それでも、あの日、俺が抱きしめて伝えた言葉が、ほんの少しでもあゆかの心に届いたと信じたい。

触れることすら拒否される状況は続いたが、それでも俺は諦めなかった。毎日、あゆかのそばにいる時間を増やし、彼女の不安を少しでも和らげようと努めた。

清潔なシーツやパジャマに取り替え、彼女が眠っている間に体を拭いてやる。そんな日々を繰り返すうちに、彼女の表情からわずかな安堵が読み取れるようになった。

以前のように、俺が触れようとするとギュッと目を閉じることはあっても、以前のような激しい拒絶は少なくなっていった。

俺は病院での仕事を調整し、可能な限り早く帰宅するようにした。あゆかが一人でいる時間を最小限にしたかったのだ。

同僚たちには事情を説明し、理解を求めた。幸い、みんな協力的で、俺のシフトを調整してくれた。

あゆかが眠っている間、俺はそっと彼女の寝顔を見つめた。苦しそうな表情を浮かべることも多かったが、時々、穏やかな表情を見せることがあった。

その瞬間が、俺にとっては何よりも尊い時間だった。

俺は、あゆかの好きだった香りのボディクリームを買い求めた。彼女が眠っている間に、そっと手足に塗ってやった。

目を覚ました時に、少しでも安らげる香りに包まれていてほしかったからだ。

最初は気づかない様子だったが、ある日、あゆかが小さく「いい香り」とつぶやいたのを聞いた時、俺は胸が熱くなった。
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