絆の光は未来へ

あゆかside

光希の診察を終え、処方された新しい薬を飲み始めてから数日。あゆかは、いつものように衛生看護専門学校での忙しい日々を送っていた。

午前中は座学の授業、午後は演習や実習の準備に追われる。

特に、来週に控えた基礎看護学実習の準備は、膨大な資料の読み込みとレポート作成が必須で、連日深夜まで机に向かう日々が続いていた。睡眠時間は削られ、疲労は蓄積していく一方だ。

「……っ」

その日の午後、解剖生理学の座学中、あゆかは下腹部に突き刺すような鋭い痛みを感じた。

思わず、ノートを握る手に力が入る。これまで感じていた鈍い違和感とは明らかに違う。子宮の奥を鷲掴みにされたような、激しい痛みが波のように押し寄せた。

「あゆか、大丈夫か?」

隣に座っていた親友の真央が、心配そうな声で覗き込んできた。あゆかは、痛みに耐えるように顔を歪ませながら、小さく首を振った。

「うん……ちょっと、お腹が痛いだけ」

嘘だ。ただのお腹の痛みではない。これが、光希先生が言っていた「炎症の進行」の兆候なのだろうか。

冷や汗が背中を伝い、身体の内側から熱が上がってくるような感覚に襲われる。講義の内容が、全く頭に入ってこない。

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