絆の光は未来へ
「っ……!」

光希の顔から、みるみるうちに血の気が失せた。電子カルテの画面に表示された文字が、彼の脳裏で血のように赤く点滅する。「出血」「意識不明」「ICU」。最悪の事態が、彼が遠く離れている間に起きていた。

光希は、蓮の連絡先を探そうとするが、手が震えて、なかなかスマートフォンの画面がうまく押せない。焦りと恐怖が彼の指先を狂わせる。ようやく名前を見つけ、通話ボタンを押した。

プルルル……プルルル……

しかし、無情にもコール音は響き続けるだけで、蓮は電話に出なかった。

(くそっ……!)

光希は唇を噛み締めた。今は、誰に連絡がつかなくても、とにかくあゆかの元へ駆けつけるしかない。出張先での学会など、もはやどうでもよかった。

彼はすぐに身支度を始めた。今日の午前中には、滞在先の病院で、お偉いさんの参加する重要な病院見学が残っていた。しかし、そんなことはどうでもいい。

彼はホテルのロビーへ急ぎ、学会関係者に声をかけた。「申し訳ありません!急用が入りまして……身内に急病者が出ました。一刻を争う状況でして」

嘘に近い真実だった。彼の"身内"であるあゆかが危篤状態なのは事実だ。頭を深く下げ、何度も謝罪を繰り返した。
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