絆の光は未来へ
その時、蓮がICUの入り口から光希を呼んだ。

「光希…お前の、両親に連絡した。今から来るそうだ」

蓮の言葉に、光希は顔を上げた。その目は、少しだけ虚ろだった。そして、普段の冷静さを失った、苛立ちと怒りが混じった声が漏れた。

「なんで……。なんで、連絡したんだよ……蓮!」

蓮は、光希の横に歩み寄り、静かに言った。

「光希の両親は、あゆかの保護者代わりでもあるんだろ。知る権利がある」

光希は、あゆかの手を握る力を強くした。その言葉は、まるで自分自身に言い聞かせるようだった。

「俺の、両親が、実の娘のように思ってくれてるが……ICUは実の親しか入れないんだぞ!面会も、原則禁止だ!なぜ、それを分かってて呼んだんだ……!」

光希の声は、焦燥と、何もできない自分への憤りで震えていた。あゆかを守りたいのに、何もできない現実が、彼の心を深く蝕んでいた。

彼の喉から、弱々しく、しかし強い感情が滲んだ声が絞り出された。

「あゆかは……たった一人で、今まで生きてきたんだ。俺がいなくなれば、本当に一人ぼっちになる。だから…だから俺が、あゆかを支える。俺が、あゆかの居場所になるんだ」

光希は、あゆかの手にそっと頬を寄せた。
< 55 / 284 >

この作品をシェア

pagetop