絆の光は未来へ
主任看護師が、あゆかの身体をさすりながら光希に言った。
「工藤先生、大丈夫です。これも治療の過程です。患者さんが一番つらいのは当然です。私たちも最善を尽くします」
その言葉に、光希は深呼吸をした。そうだ。今は感情に流されている場合ではない。あゆかの命を救うために、冷静に、そして正確に判断しなければならない。
光希は、あゆかの手を再び握り、その細い指をそっと撫でた。
「頑張れ、あゆか。この苦しみを乗り越えれば、きっと良くなる。俺がそばにいるから……」
彼の声は、自身に言い聞かせるようでもあった。あゆかの身体は、治療薬による副作用と病気そのものの影響で激しく震えていた。その姿は光希の心を深くえぐった。しかし、彼は目を逸らさなかった。この闘いを、あゆかと共に乗り越えるのだと、固く心に誓っていた。

数日後。免疫抑制療法が開始され、副作用による苦痛は一時的なものだったものの、あゆかの容態は期待していたような改善を見せなかった。確かに、過度な臓器不全の進行は抑えられたが、意識レベルは依然として深く、バイタルも不安定な状態が続いていた。
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