絆の光は未来へ
光希は、あゆかの唇に自分の唇を重ねた。
冷たかったはずのあゆかの唇に、微かな温かさが感じられる。それは、生命の息吹。

彼の口中に、あゆかの柔らかな唇の感触が広がり、これまで張り詰めていた心が、ゆっくりと溶けていくのを感じた。

深く、そして長いキス。それは、これまでの全ての苦しみ、悲しみ、そして希望と愛情が凝縮されたものだった。

あゆかの意識はまだ朦朧としているだろう。それでも、このキスの温もりと、彼の想いは、きっと彼女に届いていると信じた。

キスを終え、光希はあゆかの顔を両手で包み込んだ。彼女の頬に触れる指先は、僅かに震えていた。
その震えは、喜びか、安堵か、あるいは、ようやく辿り着いたこの現実に、まだ震えが止まらない彼の心の揺らぎだった。

「愛してる、あゆか。本当に、愛してる」

その言葉は、彼の心からの、純粋な叫びだった。
彼の左手の薬指に輝く指輪が、あゆかの指に嵌められた指輪と、静かに呼応し合っている。それは、暗闇の中で誓った、彼らの未来への約束の光。

あゆかの小さな手が、まだ力なく、しかし確かに、光希の指輪のある左手にそっと重ねられた。そのわずかな動きが、光希の心を揺さぶる。彼女もまた、この瞬間を、共に迎えているのだ。

ICUの白い空間が、これほどまでに明るく、希望に満ちたものに感じられたことはなかった。あゆかの意識の回復は、彼にとって、何よりも尊い奇跡だった
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