絆の光は未来へ
光希side
酸素マスク越しとはいえ、あゆかの瞳に宿る理解と、それに続く涙、そして最後に見せた決意の光。病状説明を終え、光希は安堵と共に、胸に去来する複雑な感情を噛みしめていた。

「よく頑張ったな、あゆか」

そう声をかけた時、あゆかの震える指が、光希の左手の指輪に触れた。意識が朦朧としていた時、彼がはめてやった指輪。

そして、彼自身が永遠の誓いを込めてはめたもう一つの指輪。あゆかがその存在を認識し、触れてくれたことに、光希の目頭は熱くなった。

彼女が看護学生であったことが、この場でどれほど助けになったか。専門用語を交えながらも、彼女が懸命に理解しようと努める姿は、彼の心に深い感動を与えた。

そして何よりも、「看護師になりたい」という彼女の揺るぎない夢が、彼女自身を支える力になっていることを痛感した。

しかし、同時に光希の心に重い現実がのしかかっていた。

「後遺症」

その言葉を口にするたび、光希の胸は締め付けられた。記憶障害、精神症状、運動機能の低下……。これらは、あゆかの未来に影を落とす可能性のある厳然たる事実だ。

彼女がどれほど努力しても、完全に元通りになるとは限らない。その不確実性が、光希の心を苛んだ。

「でも……」

彼は心の中でつぶやいた。
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