深夜13時の夜行バス

―――――
――

「はっ!!!」

思わず飛び起きた。

そう。
まさしく”飛び起きた”のだ。
全身にびっしょりと汗をかいている。
その汗が引いたのか、今は張り着いた汗の水滴が身体を包んでいて寒いぐらいだった。

辺りをきょろきょろと見渡すと、そこは”さっき”目覚めた場所……光景ではなく、明るすぎる程の陽光に包まれた白い壁だった。
淡いブルーのカーテンの向こう側、夏の太陽がサンサンと輝いている。
ああ、そうだ……ここに越してくるとき、私は色だけ気に入って遮光性のないカーテンを選んでしまったのだ。
そのカーテンの向こう側にある太陽がこの部屋を明るく照らしだしているのだろう。

「―――……夢…?」
にしては、なんてリアル。

掴れた手首を撫でさすりながら、私はゆっくりと体を起こした。
”ビー玉”もとい、”真珠”は落ちていなかった。

当然だ。だってあれは”夢”だもの。
それでも、全身が汗でぐっしょりと濡れている。降り注ぐ太陽に反して、私の体は冷たくなっていた。

まるで死人のような―――
と考えが浮かんで、慌てて頭を振る。

「てか今何時」
定位置に置いてあるスマホを手繰り寄せると
スマホのデジタル時計は
13:00と表示されていて

「1時!!」
私は目を剥いた。

「ヤバっ!会社っ!!仕事っ!」
と言い布団を跳ねのけたが、
「あ……そう言えば今日会社休みだった…」
と、すぐに考えを改めた。

ボスッ

またも布団に逆戻り。
何やってんだ、私は。

あんな変な夢見たからだよなー。

「それにしても、変な―――夢……」

目をまばたき、私は”真珠”が転がってきたであろう場所に再度目を向けると、
やはりそこには何もなかった。
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