深夜13時の夜行バス

久しぶりの休日。
一応日曜日と水曜日は定休日だけど、最近大きなプレゼンの為休日出勤も多かった。
溜まった家事を一気に片付けるつもりだ。

「てか後輩は手伝ってくれないし?定時だとか何とか言ってさっさと帰ってくし」
たまった洗濯物を干しながら、一人ぶつぶつ。

その日、久しぶりの休みだと言うのに掃除、洗濯、それから作り置きおかずの料理に追われ、一日があっという間に終わってしまった。
夜になると、作り置きおかずをつまみにビールを飲む。
大して面白くないバラエティ番組を見ながら。

「何だかなぁ……、私…このままだと本当に腐ってく…」

楽っちゃ楽だけどね。自分のペースで、自分だけのことを考えて。誰かがこの生活に入ってくること―――を想像、しなかったわけではない。
でも相手が塩原だ、と言うことは一ミリもなかった。

う゛~ん…
塩原かぁ。

悪くないし、気が合うし、仕事のパートナーとしては息が合うし。

『考えといて』

塩原の最後の言葉を反芻すると、何だか顔が熱くなってきた。
「酔っぱらったか?」
と独り言を漏らすも、

『それぐらいで酔わねぇだろ』
と、私の頭の中の塩原が、独り言を独り言で終わらせてくれない。

私は塩原を―――
意識している―――……?
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