深夜13時の夜行バス
新しいプロジェクト

■新しいプロジェクト


短い休日はあっという間に終わった。
さて、寝るか。と言う時点で布団に潜り込もうとしたとき、いつもなら完全消灯にするはずが、
私は何となく、明かりを消すことに躊躇した。

明るさ調整を全開にして、布団を頭からかぶり眠りに入るのを待った。
―――が、布団越しの明るさか、それとも変な夢を見たくないと思って体が拒絶しているのか、今日は寝すぎたからか、その日明け方まで眠りにつけなかった。

―――月曜日

寝不足なのか、目の下にちょっと隈ができてる。
「うーん……コンシーラーで誤魔化すかぁ」
ブツブツ言いながら化粧ポーチが転がっている場所に手を伸ばすと、指先に何かが触れた。
訝しく思ってその”何か”に触れた場所に視線を移し、あたしはまた目を開いた。

”真珠”―――

声にならない声をあげて、その手を慌てて引込める。
思わずきゅっと目を閉じ、次に恐る恐る目を開けると、そこには
パールの……ピアス??
確かめるまでもない、私のピアスだ。

「何でこんな所に?」

そう言えば、お気に入りだったこのパールのピアスの少し前、片方だけを無くしてしまって、探し回ってたっけ。
「…こんな所にあったんだ」
ピアスを拾い上げ、

でも―――……何で急に?
いや、深く考えるのは止そう。

一昨夜に転がってきたのはこのパールだったんだ。
うん、間違いない。と言い聞かせるも、
寝室は隣だ。今いる所はリビング。

どうしてこんな所に―――……

いや…やはり考えるのは止そう。
寝不足のせいかな。
寝ぼけていたに違いない。

うん、そうだ。
と無理やりそう片付けて、私は途中だった化粧を再開させた。


――――
――

会社に出社すると通常なら(余程のことがない限り)朝礼はやらない職場だが、朝イチで『会議』があった。
「塩原、前川、それから弓削、ちょっと来てほしい」
と営業部長に名指しされ、各々が『自分?』と呼ばれたことを不思議がっていた。
連れてこられた大きめの会議室には、すでに人が居て…

開発部…?それから外食事業部…その2部署、それぞれやはり三~四人と言う人数で席についていた。
それ程接点はないが、何となく顔を覚えていた。

営業部長と開発部長、外食事業部長が揃って前に出て、ホワイトボードとスクリーンの前に立っている。
すでに用意された資料を見ると

”高級飲料、100%ラフランスジュースの発売、新店舗”Café de Hybrid Tea”のプレ・オープンパーティー”と題材が書いてあった。

プレ・オープンパーティー?

思わず隣に座った(と言うかそれが当たり前だった)塩原に顔を向けると、塩原も目をぱちぱちさせながら私の方を見ていた。
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