野いちご源氏物語 二五 蛍(ほたる)
翌日の端午(たんご)節句(せっく)には、六条(ろくじょう)(いん)馬場(うまば)で馬を使った競技会が行われる。
その前に源氏(げんじ)(きみ)玉葛(たまかずら)姫君(ひめぎみ)のところへいらっしゃって、昨夜のことをお尋ねになった。
「あれからどうなりましたか。(みや)様は夜遅くまでいらっしゃいましたか。警戒(けいかい)(しん)はお持ちになっていなければなりませんよ。手の早い方ですから。強引(ごういん)に関係を持って女性を傷つける男が、世間には多いものです」
昨夜は兵部卿(ひょうぶきょう)(みや)様のことをあれほどほめておきながら、今朝はこんなふうに悪くおっしゃるの。

ご立派そうなことをおっしゃっていても、源氏の君は若々しくお美しい。
<下心さえお出しにならなければ、やはり魅力的な方だ>
と姫君もご覧になっている。
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