五妃伝 ~玉座に咲く愛~
「それは……」

陳亮の声が震える。だが、やがて絞り出すように言葉を紡いだ。

「皇帝の妃になり、皇太子を産むことです!」

その場に再びざわめきが起こった。

だが、玄曜は静かに冷ややかな声で言う。

「……惚れた男の子供じゃなくて?」

その一言に、陳亮の肩がぴくりと震えた。

「…………っ」

何も言えず、ただ、額を床につけた。

「何卒……何卒……!」

声は嗚咽混じりだった。

いつも毅然としていた陳亮が、今はただ一人の女のために土下座し、懇願している。

その姿に、玄曜はゆっくりと歩み寄る。

「おまえの想いは分かっている。」

低く、しかしどこか温かい声音だった。

「陳亮、もう……自分の心に素直になれ。」

静まり返った大広間に響くその声は、皇帝ではなく、一人の“友”としてのものだった。

顔を伏せたままの陳亮が、ぴくりと肩を震わせる。
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