青春の軌跡!

7

「香月ちゃん」

ホームルームを終え、生徒達が楽しげな声を上げて教室を出て行く中、机の中の物を鞄に詰め込み、部室へ向かう準備をしていた逢坂は、自分を呼ぶ声に顔を上げる。
その呼び方で察するべきだったが、近付いて来たのが笑顔の笹崎だったことに、逢坂は思わず顔をしかめた。

「なに」

逢坂の冷たい返事もお構いなしに、笹崎は早々と空っぽになっていた逢坂の前の席に横向きで腰を下ろす。

「ちょっとお話しようよ」

「嫌だ。私は忙しい。あんたと違って」

心底嫌そうに言い放ったにも関わらず、笹崎はまるで聞こえていなかったかのように勝手に話し出す。

「進捗はどう?出来次第貼り出したいから、完成は早ければ早いほど嬉しいんだけど」

主語がない問いかけだが、何の進捗を訊かれているのかは続いた言葉でわかった。
向こうからその話題を出したならばと、逢坂は手を止めて笹崎の方を見る。いつ見ても、嘘くさい笑顔である。
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