脆弱
神はとてもおぞましくそれでいて完璧であった
もっと歪な存在でもあった
それはさながら人のようであった
私達が神の子なのだと改めて心に刻みこまれた
私達がこうなのは神の子だからなのかと納得もした
人の手によって描かれる神が
ほとんど人の形をしているのは
偶像崇拝の対象にならない為と思っていたが
神は人であり、また人は神であった
存在が朧で歪んだ美しく畏ろしいものであった
この目ではっきりと視えたのに
実に不思議な感覚であった
私は人間でアレは神であった
同時に私は神でアレは人間であった
人類と人との間の存在が人間でまた神である
全ての生命が終わる時に姿を現して
全ての生命が始まる時に姿を消す
それが人であったらしい
それが神であったらしい
今その瞬間が訪れようとしている
実に嘆かわしく
実に美しい
現世と常世が交わり
全てが無に期すその様子を
人はどう思うのだろうか
神が人であるのなら人は神に名など与えなかったはずなのに
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