義姉の身代わりで変態侯爵に嫁ぐはずが囚われました〜助けた人は騎士団長で溺愛してきます〜
ステラを高位貴族に嫁がせようと躍起にるハワード伯爵と、贅沢な暮らしを満喫するメアリー夫人、ちやほやされることに無類の喜びを感じるステラ。全員、湯水のようにお金を費やす。 

最初こそ演技を続けていたステラも、邸の中ではぼろを出し始めていった。気に入らないと癇癪を起こし、当たり散らしクビにする始末。

給金も未払いになり、いつしか使用人が誰一人いなくなっていた。

それからというもの、ルーナは使用人のようにこき使われていた。

逃げようにも、ステラの足には鎖のアンクレットを嵌められていた。主に奴隷などに使うもので、この鎖は嵌めた主しか外せない。もしくは主よりも強い魔力の持ち主。遠隔で操作できる魔力のスイッチを主が持っており、逃亡したとき、もしくは主の一存でスイッチを押すと鎖から炎がでる。ステラの両足には、火傷の跡がついている。


全てに失望し、虚空をみつめるような眼差しで、日々を過ごしていたステラに対して、本日、いなくなったステラの代わりにイエール侯爵の元へと嫁げと命じたのだ。


もうじき50になるイエール侯爵は、5回目の結婚となる。嗜虐趣味があるという噂で、耐えきれずに次々と嫁いだ女性は亡くなっているそうだ。若い女性が大好物らしく、多額の結納金を既に受け取っていると。

遂に、そんな人に頼らなければならないくらいに困窮していたのね……
お姉さま……嫌で逃げたのね?
もしくは、最初から私を嫁がせるつもりだったのかも。
お姉さまを指名してきたものだから、自分たちが責められないための茶番なのかもしれないわね。

「よいか、イエール侯爵にはステラはなくなったというのだぞ!それ以外に余計なことは言うな!グズのお前でもそれくらいできるだろう、お前が侯爵家に嫁いだら、その鎖を外してやる!分かったな!」


「何かあっても責任はお前一人で負いなさい。今まで面倒みてあげたのだから、感謝なさい!」

口元にあてていた扇子をパチンと激しく音を立てながら閉じると、メアリー夫人はルーナをその扇子で叩く。

「っ!お義母さま……」

「お黙りなさい!私の娘はステラ一人です。お前がどうなろうと知ったことではありません。とにかく、なくなったというの!後は向こうが勝手に勘違いするだろうから、ステラが見つかっても騙したことにはならないわ。ぜーんぶ、お前の責任だから。それにしても臭いわね、そのきったない身体を洗ってからさっさと出ていって!」


「分かりました……メアリー夫人……」


この鎖を外してもらえるのなら、もしかしたら自由になれるかもしれない。
イエール侯爵家に到着して、鎖が外れた瞬間に、逃げよう。とにかく、ここからできるだけ遠い所へ。
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