彼が甘いエールをくれたから
 そして二日後、無事にルミナの案件を終わらせることができた。
 納期の短縮依頼は予想外だったけれど、難局を乗り越えたチームのメンバーは全員、達成感で満たされて歓喜に沸いた。

「筧くん、おつかれさま」

 ひとりで休憩スペースにいた筧くんに声をかけ、彼が座っている近くの椅子にそっと腰を下ろした。

「おつかれ。みんな本当によくがんばったよ。忽那も」
「筧くんのおかげだよ。リーダーとして引っ張ってくれたから」

 彼はフッと微笑み、手にしていた紙コップのコーヒーをひと口飲んだ。

「それに、自分ひとりで抱えずに仲間に頼っていいってアドバイスをくれたのは筧くんだもの。本当にありがとう」

 あの助言がなかったら、今ごろ私はひとり孤立したままだったかもしれない。
 彼が救いの手を差し伸べてくれたのだ。感謝してもしきれない。

「とにかく、仕事がうまくいってよかったな」
「うん。私ね、筧くんにお礼がしたいの」
「俺に?」

 彼が遠慮などしないよう、しっかりと目を見て伝えた。

「食事をごちそうさせてください」

 私の言葉を聞いたあと、彼は一瞬固まり、そのあとゆっくりと口を開いた。
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