すべての花へそして君へ①
「くるちゃん? だってあおいはもう全部知ってるんだよ」
「……だから?」
「俺らを責めるつもりがあるなら、嘘をつかないでって、そんなことを言う前に普通言うだろう?」
「それにもう、電話で泣きながら『話したいことがある』って言ってきてたんだ。だから、あおいがくるちゃんを責めたりするわけないじゃないか」……って。
(ほらね。流石はお父さん)
いつもはニブチンな父だけど、こういうことに関してはよく気付く……と言うよりも、それは信用と言うのだろう。……ううん。わたしたち家族には、信用じゃなくて愛情って言った方が正しいかも知れないな。
「くるちゃんの気持ちもわからないでもないけど、あおいは俺たちをどうやら責めてはくれないみたいだからね」
「その通りだー!」
「ははっ。……だからこれから、今までの空白がどうやったら埋まるのか。俺はみんなで一緒に考えていきたいなって思ってるよ」
「おお! お父さんっぽい!」
「一応あなたのお父さんだよ。お忘れかい?」
「お忘れでなーい!」
「よかった……っ。俺の態度変わるちょっと前からあおいの態度が素っ気なくてっ……。俺、すっかり忘れられちゃったのかと……」
「それは、サプライズ計画がバレそうになったからって、お父さんが睨んできたからじゃん。あれ怖かったんだからね」
「おう。ごめんごめん」
そんなやりとりに、母は一人何故かムスッとしていた。どうしたんだろうと、今度は父と二人一緒に首を傾げる。
「あなたの、……そういうところ。本当に尊敬する」
ちいさくぼやく母に、わたしと父は顔を見合わせて笑い合った。
「あおいー! くるちゃんに褒められたー!!」
「え。違うよ。今のは貶されてたんだよ」
「うそ!」
「ほんとよ」
「うそおー!!!!」
父の扱いは相変わらず。わたしも母側にバッチリついて。
とっても緩いけど……でも、これがわたしの生みの親。大好きな家族だっ。
「お父さん。お母さん」
これからまた、一緒に頑張ろう? ここからまた、家族を始めよう?
「……っ、おかえりなさいっ」
「……ただいま。あおい」
「っ、ええ。……ただいま。あおいっ」
強く抱き締めてくれる腕の中。
二人からのおかえりに、わたしもそっとただいまと。熱い涙を流しながら、わたしたちは何度も何度も言い合った。