すべての花へそして君へ①
キタ!生みの親VS育ての親
「それでね? この人ったら社を開けた途端なんて言ったと思う?」
一頻り泣いたわたしたちは、流石にこんな顔じゃまだ会場に行けないね……ってことになり。
「あれでしょ。お父さんのことだから、お母さんのことが大好きだー! とかじゃないの?」
「え。なんでわかったの?」
「あなたが単純だからよ」
「そうそう」
テーブルの上に置いてあったスイーツボックスに手を伸ばしながら、互いの『奪還』についての話をしていた。たしは話し終わったから、今は母の番。
「でも、これでもう本当に終わったんだね。……よかった。諦めずにいて」
そう零す父に、母もわたしも小さく笑った。けれどそれも、ほんの一瞬。すぐにニイッと歯を見せて意地悪く笑う。
「でもお父さん。これからが多分大変だよ?」
申し訳ないけど、わたしのことを好いてくれた人がたくさんいるからねー。今からいろいろ、叩かれると思うよ。
「お母さんはわたしがバッチリ庇ってあげるから安心してね?」
「あら! 心強いわ」
「あおい俺も! 俺もお!!!!」
「まあ頑張れや」
「頑張りなさい」
「どうしてこうも、うちの女性は強いのか……」
がっくしと。すっかり肩を落として落ち込む父に、二人してクスッとまた笑い合う。それが本当におかしくって。それでいてあったかくって……。
「しょうがないから助けてあげよう! あおいさんに任せなさ~い!」
初めから気持ちは決まってるからね。わたしは、これからも大事な人たちは、自分の手で守っていきたいんだ。