すべての花へそして君へ①
4-1



 ――声が、聞こえた。

 今は……あんまり聞きたくない声が。


 ひと呼吸して。錆びついたような体を動かして。振り向いて。


 白いワンピースにデカすぎるコート。

 未だに着てるそれを、……見ていたくなくて。





 蓋を閉めた。上から――これでもかと押さえつけて。

 鎖を巻いた。何重にも……何重にも。

 何重にも巻いたそこに、錠をかけた。何個も何個も。

 ……かけて。かけて、かけて。



 その鍵は投げ飛ばした。

 隠す――なんて。見つかる場所に置いておけるか。



 もうずっと。この箱は開けちゃいけない。

 だから。……これでいいんだ。




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