すべての花へそして君へ①
4-2



 できないことなんて、今まで一度もなかった。

 いや。肝心なことは、いつもできなかった。



 幼馴染みに、恋をした。

 恋をしている幼馴染みに、恋をした。


 頭の片隅にあった、『あわよくば』。

 でも、そいつの想いを大事にしたいのも、本当だった。



 ――そんな俺を、彼女は見つけてくれた。



 驚くまもなく、あっけなく恋心を持って行かれた感覚だった。

 あれだけ一途だったくせに。


 でも、どこかでそうなることがわかってた恋だったから、終わりもあっけなかったんだろう。

 新たに始まった恋も、早かったけど。



 今度こそは――そう思った。

 君は一生懸命、その時できる返事をくれた。



 もう……もらわなくてもわかってたけど。

 しょうがない。弟子のために一肌脱ぐよ。



 でも、やっぱりちょっと悔しいから。

 ひとつだけ、知ってて欲しいことがあるんだ。




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