すべての花へそして君へ①
『あ~ん』付きの唐揚げサン
そのあと、結局何に対しての『オレも一緒』なのか頑なに教えてくれなかったから、自分の好きなように取らせてもらうことにしたわたしは、意地悪な彼と共にパーティー会場に戻ってきていた。言い出しっぺのわたしたちが参加していない間に、いろいろ出来上がっていたみたいで。
「なかなか皆さん、熱烈だったね……」
「そう、だね……」
ヒナタくんが一回ここに来た時どうだったのかはわからないけど、わたしは再び揉みくちゃにされた。出来上がっていた分、先程よりも酷い有様……。回り終わった頃にはお互いボロボロだった。けど、きちんと言えてよかった、と。お互い嬉しさを噛み締めていた。
わたしと話す前に……と言っていた父も、スーツや髪型はボロボロだったものの、別段殴られたとか、そんなことはなかったようで。母の方も、初めはどうなるかと思ったけれど、奥様方たちと打ち解けていて、顔には笑顔が浮かんでいた。
ああ。本当にやさしい人たちばかりだなと、心の底から感謝した。
皆さんのところに行くと、決まって必ず抱き締められた。『よく頑張った』と、そう言ってもらえた。それが嬉しくて、恥ずかしくて。いろんな気持ちが込み上げて抱きついた。だって……それはもう、しょうがないよね。
今まで知らないところで、たくさんの人を傷つけていた。でも、そのたくさんの人に言われるのは、わたしが言った言葉と、全く一緒のことだった。
なんで謝るのか聞いてみたら、わたしをもっと早く助けてやれなかったからだって言う。なんでお礼を言うのかって聞いたら、わたしに救ってもらったからだって言う。
そんな必要はない。わたしがしてしまった後始末を、今までずっとしてきていたんだから。そして、救われることなど、許してもらえるはずなどないと思っていたわたしへの、……気休めだったんだから。
だから、皆さんにそう言うんだ。もう、何も隠さずに。そして、もう一回言うんだ。『ごめんなさい』と『ありがとう』を。それでも、わかってた。『ありがとう』しかいらないんだと。
そして最後に言ってくれるんだ。それも皆さん口を揃えて。おんなじことを。
――わたしと出会えて、よかったと。