すべての花へそして君へ①

(にしてもヒナタくん、よく食べるな……)


 確かに、どの料理も叫び倒したくなるほど美味しいけれど、がっついている彼の姿に違和感を感じすぎて、言葉がついて出る。


「おいし? ヒナタくん」

「え? まあ、腹減ってるし」


 どれだけ食べたのか。初めに取ってきた量を見てもすごいと思ったけれど、何回かカエデさんを呼んでまで追加を頼んでいた姿を見ると、男の子の胃袋ってすごいなーと思ってしまう。


「ヒナタくんって実は大食いなんだね。小食っぽいのに」

「いや、なんかすっごい腹減るんだよね」


 そしてまた、がつがつ……。わたしもそこそこお腹は減っていたはずなんだけど、そんな彼の様子にちょっとお腹がいっぱい。


「ダメだよ。ちゃんと食べて」

「え?」


 そんなことを思っていたら、彼がフォークに唐揚げを差してこちらへと向けてきた。……これは。


「い、いただき、ますっ」

「ん」


 ちょっと満足そうな顔を視界の端に入れながら、その唐揚げをもぐもぐと食べる。


「おいしいでしょ」

「お、おいしい、……っす」


 むず痒さを覚えつつも、それが嫌ではなくて寧ろ温かい。


「ま。コンビニのだけどね。カエデさんパシって買いに行かせた。どうしても食べたいって言って」

(いい匂いの正体は唐揚げサンだったのか……)

「でも、おいしいでしょ? なかなか。冷めても美味しいってヤツ」

「……。うん。そうだねっ」


 相乗効果のせいもあるかも知れないけどね。……というのは、流石にちょっと恥ずかしいので、言葉には出さないでおこう。


「あれ。また作って」

「え?」


 再び食事に戻ってしまった彼が、そう漏らす。


「朝ご飯。あと鍋? 母さんのも美味しいけど、あれ以上に美味いもの、食べたことない」

「……そ、そうっすか」

「うん。食べたい」

「わ、……わかったでごわす」


 え……。なにこれ。髪を染めたせいですか。そうですか? そうですよね、多分。そうと言ってくださいお願いしますっ!


(だって……えー……。どうしよう)


 こんな甘々になるなんて聞いてないよおー……。早急に、素直な彼の対処法を教えてもらわないと。取り敢えずキサちゃんにでも。


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