すべての花へそして君へ①
「なので、この唐揚げサンをお食べください」
「その『なので』は何に掛かってるの……」
「ん? …………唐揚げが美味しかった。『なので』お食べください」
「今の間は何」
「長考ならぬ短考?」
「なに。隠し事?」
「隠し事って言うよりは考え事って言った方が正しいかも」
「……教えてくれないの」
いつしかOFFになっていた彼のいじわるスイッチ。ほんの少し口を尖らせてくる彼に、ズイッと唐揚げサンを差し出す。
「黒にしてから、やっぱりヒナタくんは変わったなって思ってただけ」
これからもっと素直になられると、わたしの心臓が本当に保たないから、そういうことにしておこう。鼻血が出る日も、本当に近いかも知れない。
「……じゃあ、そういうことにしておいてあげる」
「大したことじゃないから、気にするだけ損だよ」
だってもう、あの頃とは違うから。わたしと同じ想いでいてくれてるんだって。ちゃんと、知ってる。
「……何に対して変わったって言ってるのかわかんないけど」
「ん?」
両手をポケットに入れた彼は、普通の顔をして言った。
「あおいに向けた気持ちだけは、絶対に変わんない」
「……え」
そういうことを言える時点で、ものすごく変わったと思うんですけど。そして、……言われる身にもなって欲しい。
「だから、何をかはわかんないけど、気長に待ってればいいよ」
「……え、っと」
「オレも、……気長に待ってるから」
「……うん」
隠された言葉の中。そこには『これからも一緒だから』って言葉が、なかったのにいっぱい詰まっていて。
「……。うんっ」
それを今一度噛み締めて、大きく頷いた。
「はい。もう一回『あ~ん』って言ってみて」
「ひ、ヒナタくんの合格ライン、高過ぎじゃない……?」
「センスがない」
「わたしにセンスを求めないでっ!」
そしていつの間にか彼のスイッチは切り替わっていたらしく、一頻り「あ~ん」と言わされ続けたわたし。とても辱めを受けている。
「……。あ……、あ~ん?」
「……ま。しょうがないからこの辺で弄るのやめといてあげるよ」
「弄られてたの!?」
「うん」
「そうだったんだー……」
とても満足げな彼は、ニコッと笑ってそのお口をカパって開けて待っていた。正直思いっ切り突っ込んでやりたかったけど、何倍にもなって返ってくること必至なので、そんな考えはさっさとゴミ箱へポイし――